
HubSpotって何?ひとことで言うと
HubSpotは、CRM(顧客管理)+マーケティング+営業+サポート+Web運用を一体で扱える統合プラットフォームです。Excel・メール・電話メモ・スプレッドシートに分散しがちな情報を、同じ顧客カルテに時系列で保存し、チーム全員が同じ画面で状況を確認できます。
できること(6分野のざっくり紹介)
1) マーケティング(Marketing Hub)
フォーム/LP作成→メール配信→広告連携→育成までを一気通貫。どこから来た人が何を見て、いつ申し込みをしたかを記録します。
製品ページ:Marketing Hub
2) 営業(Sales Hub)
案件(取引)の進捗をボードで管理し、見積・契約・商談予約(カレンダー)・自動フォローまでまとめて運用。“動かし忘れ”を減らします。
製品ページ:Sales Hub
3) サポート(Service Hub)
問い合わせ(チケット)を受け、誰が・いつまでに・何をするかを明確化。ナレッジ公開で自己解決の導線も整えられます。
製品ページ:Service Hub
4) コンテンツ/Webサイト(Content Hub)
サイト/ブログ/LPをHubSpot内で作って運用。フォームやCTAとつながるので、“集客→記録→追客”が一直線に。
製品ページ:Content Hub
5) 請求・決済まわり(Commerce)
見積→請求→継続課金(サブスク)まで扱えます。お金の動きもカルテに入るので、「誰に何を売って、いつ入金されたか」が一目で分かります。
製品ページ:Commerce Hub
6) データつなぎ(Operations/Data)
スプレッドシートや他ツールのデータを取り込み、重複・表記ゆれを整えます。名簿がキレイだと、レポートも自動化も気持ちよく回ります。
製品ページ:Operations(Data)
最初に知っておく基本用語
- コンタクト:人の情報(氏名、メール、電話など)。
- 会社:法人の情報(会社名、住所、ドメインなど)。
- 取引(Deal):商談や案件。金額・確度・フェーズ(段階)を持つ。
- チケット:問い合わせや要望。
- プロパティ:項目(フィールド)。テキスト、数値、選択肢など。
- パイプライン:案件の“流れ”(例:新規→ヒアリング→提案→交渉→受注)。
- ワークフロー:条件で自動に動くルール(例:資料請求→営業にタスク+お礼メール)。
はじめての導線(全体像)
- Webにフォームを置く(資料請求、問い合わせ、見積依頼)。
- 送信情報が「コンタクト」に自動登録。
- ワークフローでお礼メールや案内を自動送信。
- 営業は“今日やるべきこと”に沿って連絡。結果はカルテに自動記録。
- 商談が進んだら見積→契約→請求までひと続き。
- 納品後の問い合わせも同じカルテで管理。満足度・解約理由も蓄積。
“集客→商談→請求→サポート”が一本の線でつながるのが、HubSpotのいちばんの良さです。
実例でイメージ(B2Bサービスの小さな会社)
月の目標:問い合わせ30件/商談10件/受注3件
- ブログ1本/週を公開。記事末に「無料相談」CTA。
- フォーム送信→営業にタスク(1営業日以内の初回連絡)。
- 返信なしは2日後に自動フォロー。
- 商談化→取引作成→パイプライン更新。
- 受注→請求書と支払いリンク送付→入金追跡。
- 導入30日後に満足度アンケート。低評価はCSが即フォロー。
見える化:新規問い合わせ、商談化率/成約率、初回応答時間、流入元トップ3をダッシュボード化。
“むずかしくしない”設定のコツ
- 項目は最小限:名前/会社名/メール/電話/ニーズから。
- パイプラインは5段階前後:段階が多いと止まりやすい。現場の言葉で。
- 命名ルール統一:接頭辞で整理(FM_資料請求/WF_初回フォロー)。
- 停止条件を必ず:二重送信や“終わらない追客”を防止。
- 週1の健康診断:重複/バウンス/滞留を15分で掃除。
メール・カレンダー・電話のつなぎ方
- Gmail/Outlook連携→送受信メールがカルテへ自動保存。
- Google/Microsoftカレンダー連携→空き時間から自動予約。
- CTI連携→ワンクリック発信・録音・要点メモ。
レポートは“意思決定の道具”に
まずはこの5つだけでOK:
- 今週の新規問い合わせ数
- 初回応答の平均時間
- 商談化率(問い合わせ→商談)
- 成約率(商談→受注)
- 流入元トップ3
価格の考え方(超ざっくり)
料金は「使う人の席(ユーザー)」×「機能のグレード(Starter/Pro/Enterprise)」。編集が必要な人だけ席を配り、閲覧中心は閲覧権限に寄せるとムダが出にくい。最小構成→必要に応じて拡張が鉄則です。
はじめての90日プラン(参考)
Day 1–7:まず触る
- メールとカレンダーを接続、テスト用フォームを1つ。
- 自分で送信して記録の流れを確認。
- ダッシュボードに基本5指標を配置。
Day 8–30:小さく回す
- 「無料相談」LPを1枚。
- 問い合わせ→営業タスク+お礼メールを自動化。
- 商談化→取引作成→段階更新。週1で滞留掃除。
Day 31–60:自動化を足す
- 返信なし向け2日後/7日後フォローのワークフロー。
- ブログ週1本→CTA→LP誘導。
- 「よくある質問」を3つ公開。
Day 61–90:お金と満足度
- 見積→請求テンプレ化、未入金アラート。
- 納品30日後の満足度アンケート。低評価は即フォロー。
- 月末レビュー:増えた商談の源泉と来月の一手を1つ。
よくある失敗と、その回避
- 項目を作りすぎ:必要になったら足す。入力負担は敵。
- 段階が細かすぎ:会議で使わない段階は削る。
- 自動化の暴走:停止条件/上限回数を必ず。
- “誰も見ない”レポート:会議単位でダッシュボードを分ける。
- 教育不足:30分レクチャー+週次の“詰まり相談”。
セキュリティと権限の基本
- 役割ごとに見える項目/編集できる項目を分ける。
- 個人情報はアクセス権を限定。
- 退職・異動時に席の停止を忘れない。放置ユーザーはコスト。
他ツールとの使い分けの考え方
“HubSpotに入れるべき情報か?”の基準は顧客体験に関係するか。会計や在庫など“内側の詳細データ”は会計・基幹側に置き、要点だけをHubSpotに。メール配信はHubSpotに寄せると履歴が一元化されます。
関連サービス
電話起点のアウトバウンドを自動化したいなら、AIテレサポ(自動架電AI)のようなツールと連携する発想も有効です。大量の初回接触はAIに任せ、反応のあった相手だけHubSpotに登録→人が深掘り。“人がやる価値の高い対話”に時間を集中できます。
今日からできる3ステップ
- フォーム1枚+お礼メールを作る。
- 営業の“今日やること”をタスク化し、初回応答は24時間以内。
- 週1でダッシュボードを見て、改善は1つだけ決める。
まとめ
HubSpotは、顧客とのやりとりをひとつに集める箱。箱に入れれば入れるほど、次にやるべきことが自動で見えるようになります。大事なのは“完璧な設計”ではなく“回る最小構成”。フォーム1枚から始め、メールの自動化、パイプライン、請求、サポート……と少しずつ棚を増やしていけば、会社全体が同じ方向を向けます。
製品の詳細は各ページから:Marketing/Sales/Service/Content/Commerce/Operations