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2025.09.05

営業マンのためのやさしいAI入門(非IT派でもすぐ使える実践ガイド)

営業マンのためのやさしいAI入門

営業マン向けに、ITやAIに自信がない人でもすぐに試せるツールと手順をやさしくまとめました。ツール名や重要ポイントは強調しています。まずは「1つだけ」試してみてください。

はじめに

営業は結局「人」と「情報」の仕事です。だからこそ、面倒な定型作業やメモ取り、メールの下書きといった「手間」をAIに任せると、あなたが本当に価値を出す「顧客との会話」に使える時間が増えます。重要なのは一度に全部を変えようとしないこと。まずは「1つの課題」をAIで試してみる。それだけで日々の負担がぐっと下がります。

 

まず、AIに任せるとラクになること(超実務的)

勉強会

  • メールの下書きや言い回しの改善(時間短縮・返信率アップ)
  • 商談や会議の文字起こしと要点整理(聞き逃し防止・次アクションの明確化)
  • 顧客情報の整理(CRMへの記録を簡単にする)
  • どの案件に注力すべきかの優先度判断(迷いを減らす)
  • よくある反論への返答テンプレ作成(準備の負担を下げる)

 

初心者におすすめのツール(操作がかんたんで効果が出やすい順)

ここでは、ITが苦手な営業マンでも扱いやすいツールを実名で紹介します。まずは無料プランやトライアルで「感触」を掴んでください。

Lavender — メール改善のコーチ

何ができるか:LavenderはGmail/Outlookの拡張として動き、書いたメールにスコアを付け、件名や導入文などの改善案を出します。
初心者向けポイント:特別な設定は不要。普段のメール画面でそのまま使え、AIが「どこを直せばいいか」を具体的に示してくれます。

最初の一歩:ブラウザに拡張を入れて、いつもの営業メールを1通スコア化してみてください。改善案を1つだけ適用して送るだけで効果を体感できます。

 

Grammarly — 文体・誤字脱字・トーンを整える

何ができるか:Grammarlyは誤字や文法のチェックだけでなく、文章のトーン(丁寧・親しみ・プロフェッショナルなど)を判定して提案します。ブラウザ拡張でGmailやWeb上の文面を自動チェックできます。

初心者向けポイント:提案に従うだけで文章が整うので、文章作成がぐっと楽になります。

 

Otter.ai または Fireflies.ai — 商談/会議の文字起こしと要約

何ができるか:Otter.aiFireflies.aiはZoomやGoogle Meetの会議を自動で文字起こし・要約し、アクション項目を抜き出してくれます。Otterは会議からフォローメール下書きを作る機能もあります。Firefliesは会議にBotを招待して録音→要約を返す仕組みです。

初心者向けポイント:Botを招待するだけで議事録が届くので、操作は非常にシンプルです。「会議で何が決まったか」を自動で把握できます。

 

ChatGPT(OpenAI) — 文面リライト・反論テンプレ・アイデア出し

何ができるか:ChatGPTは自然言語で相談するだけで、さまざまな文面、反論対応、フォローメール案などを生成します。プログラミング不要で扱えます。
注意点:顧客の個人情報や機密情報を直接入力しないこと(必ず匿名化する)。

最初の一歩:ChatGPTを開き、「このメールをもっと短く丁寧にして」と本文を貼ってリライトを実行。出てきた下書きを自身の言葉で微修正して送ってみましょう。

 

HubSpot(無料CRM) — 顧客管理をシンプルに始めたい人向け

何ができるか:HubSpotは無料のCRMで連絡先管理、取引管理、メールトラッキングができます。最近はCRM内AI(ミーティングサマリやメール下書き)も強化されています。
初心者向けポイント:GUIがわかりやすく、学習リソース(HubSpot Academy)も豊富。まずは無料で顧客管理に慣れると良いです。

 

ITツール一覧(表でまとめる)

営業マン向け:おすすめAI/ITツール一覧(初心者向け)
ツール名 用途 主な機能 初心者向け度 価格感(目安) 無料プラン 導入の第一歩 備考
Lavender メール改善・コーチ メールスコアリング、件名・導入文の改善案、Gmail/Outlook拡張 ★★★★★(簡単) 低〜中(個人〜チーム向けプラン) あり(トライアルあり) ブラウザ拡張をインストールして普段のメールをスコア化 コールドメールの反応改善で即効性が高い
Grammarly 文章校正・トーン調整 誤字・文法チェック、トーン判定、ブラウザ拡張で自動チェック ★★★★★(非常に簡単) 無料〜中(有料で追加機能) あり 拡張を導入してGmailやブラウザ上で試す 文章の“体裁”を整えたい人向け
Otter.ai 会議・商談の文字起こし/要約 リアルタイム文字起こし、要点抽出、会議メモの共有 ★★★★☆(簡単) 無料〜中(使用量による) あり 無料アカウント作成→次回ミーティングにBotを招待 会議の聞き逃し防止に便利。議事録作成の負担軽減
Fireflies.ai 会議録音と自動要約 会議への自動参加・録音・要約、タスク抽出 ★★★★☆(簡単) 無料〜中(使用量による) あり Botを会議に招待するだけで録音と要約が届く カレンダー連携で運用が楽
ChatGPT(OpenAI) 文面作成・リライト・アイデア出し 自然言語生成、リライト、反論テンプレ作成、簡易データ要約 ★★★★☆(会話感覚で使える) 無料プランあり/有料プランあり(機能差) あり ChatGPTを開き「このメールを短く丁寧に」と入力して試す 個人情報は匿名化して入力すること
HubSpot(無料CRM) 顧客管理(CRM)+AI支援 連絡先管理、取引管理、メールトラッキング、ミーティング要約等 ★★★★☆(GUIが分かりやすい) 無料〜中(機能拡張は有料) あり(無料CRM) 無料アカウント作成→主要顧客をインポート CRMの入門として最適。教育リソースが豊富
Reply.io シーケンス/アウトリーチ自動化 メール・LinkedIn等のマルチチャネルシーケンス、自動化 ★★★☆☆(やや設定あり) 中(チーム向け) トライアルあり トライアルで既存テンプレをシーケンス化して試す 大量追客向け。テンプレ整備が重要
SalesLoft セールスエンゲージメント/ワークフロー シーケンス管理、コーチング機能、分析ダッシュボード ★★★☆☆(設定に慣れが必要) 中〜高(企業向け) トライアルあり PoCで小チームに展開して効果を測定 中堅〜大手に向く。ワークフロー最適化に強い
Outreach セールスオートメーション/AI提案 次アクション提案、案件スコアリング、シーケンス自動化 ★★★☆☆(導入支援推奨) 中〜高(企業向け) トライアルあり 小規模PoCで導入効果を検証 大規模運用で力を発揮する
Gong 会話インテリジェンス(商談解析) 通話解析、勝ちパターン抽出、コーチング素材生成 ★★☆☆☆(学習曲線あり) 高(法人向け) PoC/デモ要相談 まずは上位成功商談を解析するPoCを依頼 深い分析が可能だがコストが高め
Chorus 会話インテリジェンス(商談解析) 録音・文字起こし・ハイライト抽出、商談分析 ★★☆☆☆(学習曲線あり) 高(法人向け) PoC/デモ要相談 小規模でのPoCから勝ちパターンを作る 営業品質を組織的に改善したい企業向け
ZoomInfo リード発掘・インテントデータ 企業データベース、購買意図スコア、ターゲット抽出 ★★★☆☆(使い方で効果が変わる) 中(データ量による) トライアルあり 特定業界のリスト抽出を試験的に購入して反応を見る B2Bのターゲティング精度向上に有効
Apollo リードデータ+アウトリーチサポート 企業/担当者データ、シーケンス機能、インテント指標 ★★★☆☆(使いやすいUIあり) 低〜中(中小チームにも手頃) あり(無料枠あり) 無料枠でターゲットリストを抽出して反応を測る コスト対効果が出しやすい選択肢
Bombora インテントデータ(購買意図解析) 業界/カテゴリごとの関心度スコア、インテントAPI提供 ★★★☆☆(データ連携が必要) 中(用途により変動) 要問合せ マーケと連携してインテントを配信トリガーにする マーケ連携で効果が最大化

 

Lavender+Otter+ChatGPT の組み合わせが手堅い理由

この組合せは、導入のハードルが低く即効性が高いのが特徴です。Lavenderでメールの反応を改善し、Otterで会議の抜けをなくし、ChatGPTで文章を素早く整える。どれも設定が簡単で、ITに自信がない人でも1ヶ月以内に違いを実感できます。

 

実際のやり方(具体的な手順)

準備フェーズ(1日)

  1. 目的を1つに絞る(例:「月の返信率を今より10%上げる」)。
  2. 使うツールを決める(例:Lavender と Otter)。
  3. 測定方法を決める(過去のメール50通や前月の商談実績と比較するなど)。

実行フェーズ(1〜4週間)

  1. 1週目:Lavenderを入れて過去の代表メールをAIで改善→1通送る。
  2. 2週目:Otterを次の商談で使い、要点を取得。ChatGPTでフォローメールを作る。
  3. 3週目:返信率・商談化率を測る。良ければ成功例をテンプレ化しチームで共有。
  4. 4週目:うまくいった文面を自動化(Reply.io や SalesLoft の検討)。

 

具体例:メール改善のワークフロー(初心者向け)

  1. 普段使っているメールテンプレを20件抜き出す。
  2. Lavenderでスコアを取る(どの部分が低評価かを確認)。
  3. スコア上位の例を3つピックアップして良い点を抽出(例:「件名に数字を入れる」「導入は2文以内にする」)。
  4. ChatGPTに「上のルールを守ってこの案件向けに短いメールを作って」と依頼し、出てきた文面を自分の言葉で微修正して送る。

 

商談後フォローの定型(Otter + ChatGPT)

  1. Otterで会議の文字起こしを取得。
  2. 重要箇所(課題、次アクション、期限)を抜き出す。
  3. ChatGPTに「下記の要点でフォローメールを作って」と入力し、生成文を確認して送信。

この流れを習慣化すると、「会議での抜け」「次アクション忘れ」はほぼ解消されます。

 

初心者向け「30日でAIを仕事の一部にする」具体プラン(週ごと)

0週(準備)

  • KPIを決める(例:メールの返信率、商談化率)。
  • 過去のデータを用意する(過去30〜90日のメール・商談記録)。

1週目(導入)

  • Lavenderをインストールして、代表メールを1通改善して送る。
  • Otterの無料アカウントを作り、次の商談にBotを招待する。

2週目(運用)

  • Otterの要約を参考にChatGPTでフォローメールを作る。
  • Grammarlyで文章のトーンを整える習慣を始める。

3週目(測定)

  • AI適用後の返信率・商談化率を前月比で比較。
  • 成果が出た文面をテンプレ化。

4週目(改善)

  • テンプレをチームに共有し、良かったポイントをマニュアル化。
  • 次のツール(例:Reply.ioのトライアル)を試す準備をする。

 

現場でありがちな不安とその対策(初心者向け)

AIの文面が機械的になるのでは?
→ 最終チェックは必ず人が行ってください。AIは下書きです。違和感のある表現は自分の言葉で直しましょう。

個人情報が漏れないか心配
→ 顧客のフルネームや契約内容などは外部AIに直接入力しないでください。必ず匿名化するか、社内CRMのAI機能(HubSpotなど)を優先しましょう。個人情報の取り扱いは最重要です

操作が面倒で続くか心配
→ 最初は週に1回、10分だけツールに触る時間を確保してください。1ヶ月続ければ習慣化され、作業時間が確実に減ります。

 

次のステップ(30日後にやること)

  • 効果が出たテンプレをReply.ioやSalesLoftなどのシーケンスツールに入れて自動化を検討する。
  • 商談の品質をさらに上げたい場合はGongやChorusのPoCを検討する(導入コストが高めなので段階的に)。
  • BtoBでより先回りしたいなら、ZoomInfoやApolloでインテントデータの試験導入を検討すると効果が出ることがあります。

 

すぐ使える ChatGPT プロンプト(コピペして使える)

  • メール短縮:「以下の営業メールをもっと短く、丁寧にしてください。件名は5〜7語でお願いします。」+本文
  • 反論対応:「お客さんから『価格が高い』と言われたときの短い返しを3パターンください。業界はSaaS、対象は中小企業です。」
  • フォローメール:「商談メモを元に、次のアクションを明確にしたフォローメールを作ってください。要点:課題A、提案B、次回の期限は来週金曜。」

 

すぐ使えるテンプレ(そのままコピペ可)

録音同意テンプレ(口頭)

「この通話は記録して内容を要約し、後で提案書を作るために使わせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

初回接触メール(短め)

件名:御社の〇〇を△△%改善する方法(数字や期間を入れる)
本文:
1) 挨拶+自分の立場(1行)
2) 相手の課題を指摘(1行)
3) 簡単な提案(1〜2行)
4) CTA(15分のオンラインで状況を伺いたい、など)
署名:電話番号+短い人となりの一言

 

効果が出やすいパターン(経験則)

  • 件名に具体性(数字や期間)を入れる。
  • 導入は2文以内にする。
  • CTAは「短い時間」を指定する(例:15分)。
  • パーソナライズは「業界の現状」や「直近のニュース」を一文入れるだけで反応率が上がる。

 

費用と投資判断の考え方(シンプルに)

まずは無料プランやトライアルで「効果を確認」してください。効果が出たら、有料プランの年間コストと増収見込み(増収 ÷ コスト = ROI)を比較します。ツール費用だけでなく、設定や教育にかかる時間も考慮に入れてください。

また電話営業AIも効果的です。

テレアポ悩み

 

注意点(絶対に守るべきこと)

  • 個人情報は外部に出さない(顧客の氏名・契約金額・個別条件は匿名化)。
  • AIの出力をそのまま送らない。必ず自分の言葉で最終チェックする。
  • 録音は相手の同意を得る。法律と社内ルールに従う。

 

よくある質問(Q&A)

Q. AIに頼ると営業スキルが下がる?
A. いいえ。AIは下書きや分析を手助けする道具です。適切にフィードバックループを回せば、むしろスキルは上がります。

Q. 小さな会社でも意味はある?
A. あります。メール改善や議事録自動化は規模に関係なく時間を生みます。まずは無料で試して感触を掴んでください。

Q. 失敗しやすいポイントは?
A. ツールを入れて放置すること、データを整理しないこと、AIの提案を鵜呑みにすること。この3つを避ければ失敗確率は下がります。

 

最後に(営業マンへの短い励まし)

AIは怖い機械ではなく、日々の「めんどくさい」を代行してくれる相棒です。最初は抵抗があるかもしれませんが、まず1週間だけ真剣に試してみてください。Lavenderでメールを1通直し、Otterで会議の要点を受け取り、ChatGPTでフォローメールを作る。これだけで見える世界が変わります。ITに自信がない営業マンほど、最初の一歩を踏み出すことで大きく差がつきます。応援しています。

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